Web小説
2012年09月23日
双子のパラドックス(ノベライズ版)#03
作:zyun/イラスト:soriku
一体どれほどの時間が過ぎたのだろう?
闇。真っ暗闇。辺り一面が黒の世界。
あるいは自分が黒い袋でも被っているのかもしれない。
自分が今、目を開けているのか・閉じているのかもわからない。
自分の耳が今、左右ともにちゃんと付いているのかも疑わしい。
自分の身体は今、ちゃんと自分の形を保っているのかも判断できない。
はっきりしていることはただひとつ。
ここが、宇宙の果てだということ――
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一体どれほどの時間が過ぎたのだろう?
闇。真っ暗闇。辺り一面が黒の世界。
あるいは自分が黒い袋でも被っているのかもしれない。
自分が今、目を開けているのか・閉じているのかもわからない。
自分の耳が今、左右ともにちゃんと付いているのかも疑わしい。
自分の身体は今、ちゃんと自分の形を保っているのかも判断できない。
はっきりしていることはただひとつ。
ここが、宇宙の果てだということ――
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2012年09月09日
双子のパラドックス(ノベライズ版)#01
作:zyun/イラスト:soriku
これはY研究施設が発明した新技術による、データ移動装置の試験的記録情報であります。この程開発されたこの技術を使えば過去へのデータ送信が可能なのだそうで、ありがたくも迷惑なことに国のコンピューターが選出した10の試験対象団体のうちのひとつとして弊社が選ばれました。(多分、エラーか何かなのでしょう。)それで、割に合わない仕事を押し付けられた私こと巡音流歌(めぐりねるか)がこの文章をしたためた次第です。まあそういったわけですから、私の書きたいように好き勝手に書かせてもらうつもりです。ちなみに内容については一応、国や開発元のY研究施設の検閲があるようです。あなたにこの文章が読めているのならそれらはザルということになりますけど。どちらにしても、私としては読まれないようならそれはそれでいいです。私自身、仕事とはいえ好奇心で覗いてしまった事実をどこかに吐き出したかっただけなのかもしれませんし……とまあ、前置きはこんなところで、それではそろそろ始めたいと思います。
この文章は私が過去に向けて送りたかった、可能ならば知っておいて欲しいと思った双子の物語です。
私からみれば、ずっと遠い過去の出来事。あなたからすれば、きっと遥か未来でのお話し――
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